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コラム-2002年W杯に向けて-

2002年W杯に向けて

 サッカーW杯が目前に迫りました。アジアで初めての大会だけに、その盛り上がりようには誰をも夢中にさせる勢いが感じられます。
 日本でサッカーが本格的に流行り出したのは10年前頃からです。91年〜93年まで、私はパリに留学していましたが、この間にJリーグができ、帰国した時にはプロ野球を凌ぐほどの人気を得ていたことを記憶しています。
 サッカーはフランスでは国民的スポーツです。大きな試合のたびに至るところで応援合戦が繰り広げられ、特にパリを本拠地とするパリ・サンジェルマンの試合がある日などは、時間を見て外出しないと思いがけない混雑に巻き込まれかねません。
 ある日、地下鉄で鉢合わせになったことがありました。乗っていた電車がスタジアムのあるブローニュ方面の駅に入ると、地響きのような音が迫り、興奮に沸き立った集団がなだれ込んできたのです。たちまち中は叫びや歌で騒然となり、ワインの臭いが充満しました。サンジェルマンが勝ったようです。彼らの熱狂ぶりが激しいだけに、単に通りすがりの乗客たちは、そこに素面で居合せていることが場違いに感じるほどでした。
 夏のヴァカンスになるとサッカー熱はいよいよピークに達します。カンヌやニースなど地中海の街では、ラテンの血が濃いせいか激しさは増し、缶や壜を叩き回り、それでも足りないと車のクラクションを鳴らして歓喜するといった情熱です。
 このサッカー熱がとうとうアジアに上陸し、今やW杯を迎えようとしています。
 ところで、サッカーでも野球でも、人々が一丸となって夢中になる根底には、一見つながりのないようなものの間に関係を見出す人間本来の心の働きがあるそうです。夜空に散らばる星にさまざまな形を連想して星座を創造したように、私たちには得ている知識の断片を積極的につなげてゆく能力があります。これはもっと身近には、自己と他人の間にも作用する現象であり、相手の悲しみを自分の悲しみに、自分の楽しみを相手の楽しみにするという、目に見えない心の読み取りの中に見ることができます。
 こうした、いろいろなものの間に関連性を持たせる感覚が何かで他人と共有されると、そこから一体感が生まれ、集団でひとつのものにはまることがあるというのです。
 アジアで初めて開催されるW杯が、サッカーを通し世界の人々にさまざまな感動を共有させ、住みよい時代の先駆けとなることを期待します。

「仙台経済界」2002年 5-6月号掲載

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